紹介

原作
原作:古川日出男訳 「平家物語」河出書房新社刊、キャラクター原案:高野文子
あらすじ
《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす》 平安末期。平家一門は、権力・武力・財力あらゆる面で栄華を極めようとしていた。 亡者が見える目を持つ男・平重盛は、未来(さき)が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会い、 「お前たちはじき滅びる」と予言される。 貴族社会から武家社会へ―― 日本が歴史的転換を果たす、激動の15年が幕を開ける。
アニメ「平家物語」公式サイト https://heike-anime.asmik-ace.co.jp
PV
スタッフ
監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、音楽:牛尾憲輔、キャラクターデザイン:小島崇史、美術監督:久保友孝、動画監督:今井翔太郎、色彩設計:橋本賢、撮影監督:出水田和人、編集:廣瀬清志、音響監督:木村絵理子、音響効果:倉橋裕宗、歴史監修:佐多芳彦、琵琶監修:後藤幸浩、制作会社:サイエンスSARU
公式サイト

(C) 「平家物語」製作委員会
総評
はじめに
アニメ「平家物語」を視聴したので、総評を行っていこうと思います。最初に評価としては星5中星4つと質、演出、そしてストーリーにおいて全て高品質かつ素晴らしい脚本に仕上がっております。アニメーションとしてかなりおすすめ出来る作品となっていると思います。繊細かつ寂しさも溢れるこの作品、それは物語のエンディングは既にもう決まっている、そこから漂う秋愛に他なりません。詳細は感想の方で書いていこうと思います。とにかく原作は800年前に書かれたあの「平家物語」を現代に蘇らせて頂いた制作者さんたちに感謝致します。
感想
余談ですが
「平家物語」と聞いた時、私はそもそもこの作品を観たいとは実はそんなに思っていませんでした。というのもそもそも私は日本の歴史についてはあまり興味がない方であり、「平家物語」と聞いて思い出すのは国語の古典の時間であります。さらに追い討ちでかけるが如く、古典の時間は一位二位を争うほどの嫌いな科目でありました。
そんな私が視聴を行い、そして今期1番と言っても過言ではないほどの作品と断言出来るに至った今作品。何が凄くて何が面白かったのか紐解いていこうと思います。
歴史好きも嫌いも楽しめる納得の出来
初めに「平家物語」とは、約800年前の書かれた軍記物語です。そして、平家という平安時代に一時代を築き、そして武士という時代を開いていったが、最後には有名な壇之浦の戦いで滅亡してしまうそんな最終回のストーリーは全て決まっている物語。
この平家物語そんな最終回がわかっているからこそ、それぞれの話数で起きる出来事や人生に感じる様々な感情が絶妙に苦しさやもどかしさに繋がり非常に素晴らしい作品になっております。
平家の日常
このアニメ、主人公かつ語り手の「びわ」というアニメオリジナルキャラクターが平家と交流を行いながら、平家の行く末を辿っていくのですが、このびわと平家との関わりから、平家が何を考えどのような事を考え過ごしてきたのか、また、色恋やら生活という日常を風景として取り入れ最終的にその運命を辿っていくのかその見所に深くスパイスとして添えられております。
アニメ冒頭では有名な「平家にあらずんば人にあらず」という平時忠が放ったとされる有名なセリフが登場してきます。ここからわかるのは当時相当な権力を持つまで繁栄していた平家という一族の傲慢さと権力を一言で的確に表しており、とにかく前半は平家の強さを印象付けるストーリーが描かれました。
滅亡へと向かうその中で人は
そんなアニメで描かれる日常と繁栄とは裏腹に、平家は滅亡へと確実に着実に進んでいきます。それは権力をどんどん強めてきた平家が徐々に悪行を行い反感を持つものたちが増えていくからです。私はこの平家の落ちていく様、繁栄、そして葛藤となんとも言えないもどかしさが物凄く丁寧に描かれており最終回付近は物凄く感動と憤りを感じました。
本題
どんどん追いやれていき落ちていく平家、京を追われどんどんと流れていく平家この辺りのなんとも言えないもどかしさは、山田監督、吉田脚本にあっぱれと言わざる追えません。当時でみれば平家は権力そのものであり、天皇を幽閉、利用する悪行の数々を起こし同情をするものはいないであろう存在。しかし日常を描き、平重盛とびわとの関係、先を案じていた重盛に前半は焦点を当てることで先がわかっていようともどうすることも出来ない無力感を突きつけられる感覚、このような感覚をアニメーションとして表現し感情移入させてもらえた事に物凄く感謝です。重盛は特に自分の命よりも平家の未来を案じ、清盛に対しても色々と助言を行ってきた人。その描写が頻繁に出ていくることにより、重盛が命を落として以降の滑落具合、そして重盛の長男で平維盛も平家の未来を案じ努力を尽くしていきますが、もう全てが遅すぎたが為に、どうすることも出来ない世界。残された者達が絶望に打ちひしがれていく様、それでも敵が増えていく様、どれをとっても悲しく儚いエンディングに近づいていく、毎話毎話目が離せませんでした。最後の壇之浦の戦いは涙なしでは見られません。結果より過程が素晴らしいため、ぜひ見てほしい作品です。個人的には今期2022年冬アニメでは1位の作品だと思っております。
少し分かりにくい点も
この作品、とにかくキャラクターの顔と名前、相関図が中々一致しません。私も最初中々一致せず少し苦労致しました。相関図も歴史が苦手な自分はあまりわからなかったので、公式サイトにある相関図を横に起きながら視聴し、そしてこのアニメでクローズされた出来事については都度調べながら視聴致しました。
前半は特に各話で繋がりが見にいくことも有りますが、これは滅亡へと近づいていくその段階を断片的に見るという形にすることで最終回まで描くための仕方無い施策だと私は感じました。歴史が苦手な自分ですが3話を視聴するあたりではかなりハマり、調べながら視聴するのが苦痛に感じないレベルになっていました。そしてこの時代の流れについても少し詳しくなりました(笑)
最後に
何度も言いますが、この「平家物語」本当に素晴らしい出来で凄くいい作品に仕上がっています。かの有名な平家物語の冒頭「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」と物語はスタートしますがこの意味がにわかながらかなり深く。そして平家物語そのものを表しており有名になる理由がはっきりとわかりました。アニメの最後にも冒頭の一説が流れますが、本当に滅び去りては塵と同じようになっしまうその儚さが胸に刺さりました。本当におすすめの作品です。
いかがだったのでしょうか、アニメ総評は今回が2回目でありまだまだ文章と構成が拙いですが同じように平家物語に感動した方や、思ったことぜひコメントで共有させて頂けると嬉しいです。次回はまだ未定ですが、2022年冬アニメで完走した作品を中心にしばらくは感想を記して行こうと思います。では
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