紹介

原作
原作・脚本:麻枝准、キャラクター原案:Na-Ga
あらすじ
高校最後の夏休み、大学受験を控えた日々を送る成神 陽太の目の前に、ある日突然「全知の神」を自称する少女・ひなが現れる。「30日後にこの世界は終わる」そう告げるひなに困惑する陽太だったが、神のような予知能力を目の当たりにし、その力が本物だと確信する。超常的な力とは裏腹に天真爛漫であどけないひなは、なぜか陽太の家に居候することが決まり、2人は共同生活を送ることになる。「世界の終わり」に向けて、騒がしいひと夏が始まる。
「神様になった日」公式サイト https://kamisama-day.jp/?from=lower
PV
スタッフ
監督:浅井義之、キャラクターデザイン・総作画監督:仁井学、美術監督:鈴木くるみ、撮影監督:梶原幸代、色彩設計:中野尚美、3D監督:鈴木晴輝、編集:髙橋歩、音響監督:飯田里樹、音楽:MANYO/麻枝准、制作会社:P.A.WORKS
公式サイト

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project
感想
はじめに
巷で色々な賛否両論を生んでいる本作品「神様になった日」だーまえ信者で鍵っ子の私は見よう見ようと思っていながら中々視聴に踏み切れずにいましたが、やっと気合を入れて全話視聴することで出来ました。だーまえ作品の中でも「CLANNAD」や「MOON.」「Angel Beats!」が大好きな私は放送時期がちょうど少しアニメから離れていたこともあり観るタイミングを逃してしまい、追い討ちをかけるように放送直後から賛否両論な意見もあってか中々みる勇気が湧きませんでした。かなり遅れてしました…。
最初に評価をズバッと言わせて頂くと、星5つ中星3つです。総評にて詳細に書きますが、普通に面白い作品だと思います。これは麻枝准さんの作品である、泣けるという過度な期待をせずに普通に見れば普通に良い作品であります。アンメーションもかなり綺麗かつ繊細であり、背景の美しさはさすがPAという感じがひしひしと伝わってきます。特にOPの花火シーンはかなり美しく、本物より綺麗と感じてしまうほどでした。ただ鍵っ子の私としてはだーまえ信者の私としては「星2つ」が妥当かなと思いますが、その理由についてはこの後の総評と考察にて詳細に記していきますが、惜しい作品であったといえます。
以下、ネタバレを含みます。
総評&考察
期待と麻枝准の原点とは〜MOON.から続く伝統
この作品、なんとも言ってもあのKey設立者の一人にして泣きゲーのパイオニア「麻枝准」さんが原作を務めることもあり放送開始前から期待値や宣伝が過剰なほどされていた作品であります。
時は2020年の5月10日「Key×アニプレックス×P.A.WORKS 新プロジェクト発表会見」)にて2010年「Angel Beata!」2015年「Charlotte」に次ぐ5年ぶりのだーまえ新作アニメとして「神様になった日」は発表され当時リアルタイムで視聴していた私は、期待を胸に馳せ楽しみにしていました。
それもそのはずです、その発表会にて麻枝准氏は前2作で失敗した点を徹底的に研究・分析を行い改善した作品になるという旨の話があったからです。特に今回はAIRのような家族愛に着目し焦点を当てるというお話でした。
ここまで読んでいて気づいた方が多いかも知れませんが、この「家族愛」まさにひなと陽太の事を指しています。この「家族愛」key作品、否、だーまえ作品では常にテーマとして上がる重要な構成要素になります。それは遥か昔デュー作である「MOON.」まで遡ります。このMOON.私は大好きな作品でもあるのですが、中身は非常に重い作品であり「家族」を求めヒロイン達は宗教施設に潜るというものであります(既にKey作品として完成されているので是非プレイして下さい。いつか記事を書きたい…)。時は流れ、Keyは「AIR」や「CLANNAD」を得て「家族愛」というテーマは「智代アフター」で一つの集大成を迎えます。この智代アフターこそ実は麻枝准が一番伝えたく描きたいものがダイレクトで描かれており、エンディングは当時賛否両論を生みました。ではなぜこの智代アフターが一番伝えたいものであったかというと、それはこの智代アフターだけは麻枝准さんが趣味で書き、後々発売されることになるものであるからです。詳細は省きますが、このエンディングこそ今回の神様になった日に繋がる家族愛が記されているのです。この智代アフター以降、麻枝准氏は家族愛を一番のメインテーマからは除外していきます。「リトルバスターズ」「Angel Betas!」はその挑戦をし続けた先の作品であります(リトバスに関しては一部のヒロインで家族愛のテーマはありましたが)。
話を戻しますが、この智代アフター、個人的にはかなり今作神様になった日と被る点があります。家族愛はもちろんのことですが、もう一つKey作品において重要な要素それは「困難な事に諦めず立ち向かう」です。
Keyである事とは
Key作品において重要な要素は「困難な事でも諦めずに立ち向かう」です。実はこのもう一つのテーマ。これに関してもこれまでのだーまえ作品全てに密接に関係しています。その先にあるものは、奇跡であったり良いことであるのです。key作品はこれが鉄則なのです。Keyの泣けるポイントというのは、この家族愛と、「困難な事でも諦めずに立ち向かう」というプロセスにあり、その先ただの結果でしかないのです。ここまでを踏まえ今回の「神様になった日」の原点回帰とはこの二つのテーマを主軸に置くという事です。MOON.から続き、「智代アフター」で到達点を見せたこのテーマ。巷では最後のひなが陽太の方へ歩くシーンや車椅子を陽太が押すシーンをAIRやKanon、Angel Beats!を連想させそこを原点回帰と仰る声も存在しているが、あくまでこれは副産物であり、あえてわかりやすく明示するために演出に組み込んだものだと思われます。立ち向かえ続ければ、最後には報われる。実はこの点に着目すれば「眩しいほどに輝いていたもの」の意味がひなと過ごした夏であるのと同時に、ひなを介護するようになった日々そのものに置き換えることも可能になることがわかります。ここは正に「智代アフター」から連なる「人生の宝物を探しにいこう」ですね。
ここまで、テーマと神様になった日が追い求めたものについて書いていき、「神様になった日」も真合事なき麻枝准度100%の作品であることを実感していますが、それだけ今回の作品惜しい作品となったと感じています。
何が惜しいか
ここまで総評を行い、一つ言いたいのはこの神様になった日で賛否両論が生まれるのは当たり前なんです。それは出来が悪いとかを言いたいのではなく、先ほどのテーマである以上賛否両論になるのが正しいのです。ただこの賛否両論中で賛の側で過去最高の作品になればそれで十分なのです。ただ、私が言いたい惜しい部分はこの賛の側で過去最高の作品になり得なかった可能性が大きいということ。これはなぜか?それは過去最高の作品になり得るには尺が足りないからです。結局それかい!!と思われたかも知れませんが、では何が足りなかったか?それはひなの秘密が明らかに「フェンリル」に連れて行かれた第10話以降の3話です。ここ3話で皆さん異常に不自然に思った部分はありませんでしたでしょうか?
それはひなが養護施設にいることがわかり向かった陽太が不注意レベルでひなを怖がらせてしまうところです。
陽太の不注意は困難を描きたかった
私自身この部分だけどうも納得が行っていませんでした。ビジティングリサーチャーである司波さんが散々大きな声を出すと注意したりしているのに、容易に陽太は大声で注意したりしてひなを怖がらせてしまう場面です。そこで私はこの場面を今までKey作品に置き換えて考えてみようと思いました。それは、困難の追い討ちです。Key作品には困難な場面でさらに困難な場面に追い詰められる事が多々あります。それはゲームだからこそいつ終わるかわからない(アニメのように時間が決まっていないため)困難に立ち向かい。何度も何度も苦しい場面を迎えます。実はこの演出はとても重要であり、のちのプロセスとして蓄積されていきます。つまり、この場面はプロセスの蓄積を描きたく描いていたものであると私は解釈致しました。司波さんが急に立ちはだかるのもそれが理由だと思われます。
しかし、ここである失敗をしてしまいます。それは主人公(陽太)の行動による因果結果に対し感情移入がしづらい点でした。逆に陽太が色々ひなと為にやろうとしているのにうまく行かない所に共感出来れば、この神様になった日は感動出来たのではないかと思います。こここそ今回最大の失敗だったと思われます。もう一度言います。賛否両論は失敗だったのではありません。あれはテーマ上仕方がない事です。ゲームであるならまだ良いのですが、アニメという不特定多数がみる媒体上どうしても仕方ない部分な気がします。ただ「智代アフター」でも賛否両論だったのでなかなか厳しいところではありますが…
ただ個人的には「Angel Beats!」の完成度までは行かないにしても、「Charlotte」よりは十分Key作品として完成されたものになっていると思いました。私は十分楽しめました。最後にひながなぜオーディンだと言ったのか、それとあのサイバー少年鈴木がいた組織について軽く触れ総評を終わりにしたいと思います。
ひなオーディンと組織フェンリル
ひなは自分の事を神オーディンだといい、サイバー少年鈴木が所属していた組織は「フェンリル」という組織です。
序盤でやたらひなが成神家族の神の名前に触れていたこともありこの神の名前は重要な伏線になると思っており、この組織「フェンリル」が現れた時あーそうかと思いました。このフェンリル実はオーディンと敵対した際、オーディンを飲み込む存在と言われています。そのため、このフェンリルという組織はひなに何かを飲み込むような存在であることが明示されていました。私自身この時点で世界の終末はひな自身の事ではないのかな?という疑問が確信に変わったのも覚えています。
そしてこのフェンリルという組織、一応世界的なIT企業となっておりますが個人的には、俗にいう300人委員会的な世界を支配する立場であること組織のような気がします。その為、興梠博士は量子コンピューターを開発した実績があることから、その研究成果物の危険性を考慮し、監視を行っていたと考えるのが筋なところだと思います。結果としてひなの中に眠る量子コンピューターを危険視し、排除に動くことになったということでしょう。
最後に
いかがだったのでしょうか、ちょうど最近見た「神様になった日」を鍵っ子視点から総評と考察をしてみました。
ブログを始めてはや四日アニメの総評第1号に相応しい内容になったかと僕自身は思っています。今後もアニメの総評や考察を行っていこうと思っています。なんせ500作品以上見ているのでストックは沢山あります。ぜひ楽しみしておいて下さい!直近は2022年冬アニメで見終わった作品からやっていこうと思っています。
最後に、あくまでこれは私の推測であり、皆さんの考察や神様になった日の感想等色々知りたいので、ぜひコメント等にお願い致します!では今日はこの辺で!
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